大学教育研究センターの当面の活動課題について

2003年8月1日
木野 茂、矢野裕俊、大澤慶子


本センターは2002年12月9日付けの大学教育研究センター設立準備委員会答申に基づき、5名の専任研究員のうち先に私たち3名を選考し、金児副学長の所長のもと、4月1日より発足致しました。

しかし、4月時点ではセンター施設さえ未完成で、センターの運営体制を整えるなど、センター発足に伴う緊急課題に対応することで精一杯でしたが、この夏休み中には個人研究室への移転を終え、センターの活動を軌道に乗せたいと思いますので、全学の皆様のご協力をなにとぞよろしくお願いします。

センターに託された課題については金児所長が詳しく述べられていますが、そのうち、私たち3名がとりあえず取り組む予定の当面の活動課題について説明します。



◆全学共通教育にかかわる当面の課題

今年度は新教育課程になってからちょうど10年目にあたりますので、これまでの本学における全学共通教育の経緯をまとめ、その整理にもとづいて点検を行うことから始めたいと思います。

1.本学における全学共通教育10年間のまとめと点検

(1)10年間の全学共通教育に関する基礎データの整理

    全学共通教育の責任部局は教務部ですので、各種基礎データは主として教務部に保管されていますが、これまでの全学共通教育に関する点検はメンバーの交代する委員会(当初は全学共通教育カリキュラム委員会、現在は教務委員会、実際に点検の中心になるのはその中の小委員会)であったため、データは系統的に整理されていません。

    今後、センターが全学共通教育の点検・評価・企画を継続的に行っていくためには、まずこれまでの基礎データを下記のようなカテゴリーで収集・整理することが不可欠であります。

    1.  カリキュラム(科目区分・主題・科目、履修方法等)に関するデータ
    2.  各学部の卒業に必要な全学共通科目の条件に関するデータ
    3.  開講及び受講に関するデータ
    4.  単位修得及び成績に関するデータ
    5.  学生による授業評価アンケートに関するデータ
    6.  FD活動に関するデータ
    7.  他大学の全学共通教育に関するデータ

(2)10年間の全学共通教育に関するまとめと点検

    上記の基礎データの整理の上に立って、本学における10年間の全学共通教育の点検を行い、現状の評価と問題点の抽出を行うことが当面の第一の課題です。

    1.  全学共通教育の提供のあり方に関する点検−全学提供体制の観点から−
    2.  全学共通教育の受講のあり方に関する点検−4年一貫教育の観点から−
    3.  授業改善アンケートのあり方に関する点検−授業改善の観点から−

2.全学共通教育にかかわる企画・提言

    上記「10年間の全学共通教育に関するまとめと点検」にもとづいて、現在の全学共通教育の改善にかかわる企画や提言を随時行います。また、新たな10年間を見越した検討を始めます。

    さしあたって、新入生に対する初年次教育のあり方を研究するため、1回生セミナーの来年度試行を検討しています。

3.全学共通教育にかかわる調査・研究

    本学の全学共通教育は他大学と比較しても十分充実した方だと思いますが、今後は他大学における全学共通教育に関する資料の収集や訪問調査を通じて、比較研究を行いながら、本学の全学共通教育の更なる発展に寄与したいと思います。

4.センターが支援する事業

    要請があれば、学部における4年一貫教育への助言を行います。




◆FD活動にかかわる当面の課題

本学では1994年の教育課程改革による全学共通教育の確立以降、教育改革シンポジウムおよび大学教育研究会が毎年開催されるようになり、また近年は各教科会議による公開授業の実施も加わって、教育の改善に向けたFD活動が取り組まれてきました。これらの活動の実効性を高めるには、センターの創設を機にFD活動の企画・実施や教員がそれに参加する意義、重要性を大学として認知し、FD活動を全学の教員の関心事として根付かせることが必要であります。
センターは様々なFD活動に対する調査研究を行うとともに、本学のFD活動を中心になって進めます。

1.センターが主管する事業

(1)教育改革シンポジウム

    大学教育改革のための全学的な議論の場として位置づけ、大学教育の改革・改善のための課題の明確化・共有化を目指します。シンポジウムはセンター主催としますが、実施にあたっては教務委員会などに協力を依頼します。

(2)大学教育研究会

    シンポジウムよりも「研究」活動の性格を重視して、センターをはじめ学内で行われている教育実践の報告や研究活動の成果を共有し、全学に広めるとともに、大学教育への全学的な関心を高める場として位置づけます。従来のような講演形式にとどまらず、部会(分科会)に分かれて発表・議論する形式の導入など、研究会としての内容の充実を図ります。大学教育研究会もセンターの主催で行いますが、教務委員会や教科会議との連携を図り、実施にあたっては協力を依頼します。開催時期についても、今後は授業期間を避けるなど配慮します。

(3)学外の学会・研究会への参加、他大学との交流、他大学の調査

    大学教育改革のための全学的な議論の場として位置づけ、大学教育の改革・改善のための課題の明確化・共有化を目指します。シンポジウムはセンター主催としますが、実施にあたっては教務委員会などに協力を依頼します。本学にセンターが設立されたことを他の大学にも周知し、資料交換など研究交流を始めます。

    主要な学会・研究会に参加し、本学としての今後のかかわり方を検討します。

    FD活動にかかわる他大学の資料を収集するとともに、訪問調査を行います。

(4)将来的に考えるべきこと

  • 授業支援セミナーの開催
    今秋には第1回目のワークショップ「メディアを生かした授業の工夫」を予定しています。
  • 教育・学習活動に対する相談・助言システムの確立
    来年後期には全学共通教育棟第2期分も完成し、センター施設も拡充される予定で、その中に教育相談室も計画しています。
  • FD活動のためのHP等Webの整備、広報誌等の刊行
    FDに関する情報提供をはじめ、このホームページを活用していきたいと思います。また、教員向けにFD手帳を作成する計画です。

2.センターが支援する事業

(1)公開授業

    教科会議主催の公開授業に、センターとしても企画・実施・評価に積極的にかかわります。

(2)学部FD活動

    各研究科・学部でのFD活動の企画・実施・評価に助言・協力を行います。すでに、工学部から9月の学部FD活動への講演依頼が来ています。




◆大学教育の評価にかかわる当面の課題

大学教育の評価は、2000年に国立の第三者評価機関として、「大学評価・学位授与機構」が設立され、分野別研究評価、教育評価などを試行的に行ないつつ、2002年度にすべての国立大学を対象に「全学テーマ別評価」の一環として「教養教育」の評価が実施されました。評価のあり方には種々の議論がありましたが、いずれにしても大学教育の評価は、大綱化と表裏一体の関係にありますので、今後はますますその重要度が増すと思われます。本学の教養教育(現在の全学共通教育)は、大学の設立当初から高い理想をもって実施されてきましたが、外部の視点からも評価されるような体制の充実を図る必要があり、これもセンターの重要な任務と捉えています。

1.センターの事業として進めていくもの

(1)特色ある大学教育支援プログラムへの対応

    本年度はセンターから全学共通教育で応募することになり、「現代における教養教育の取組」として総合教育科目Aの取り組みをテーマに申請を行いました。

(2)学生による授業評価アンケート

    今年度は若干のアンケート項目の変更以外昨年どおりの手順で、「総合教育科目」に関して、第1部で前期と後期に実施します。今後は全学共通教育の点検とあわせて授業評価のあり方についても調査研究を進めます。

(3)大学教育の評価

    大学教育の評価に関して、国内外の事例を調査研究します。

(4)将来に向けての問題

  • 大学評価・学位授与機構による公立大学の教養教育評価
    いつ実施されるかは、現在のところ不明ですが、国立大学の事例などを参考に、情報収集も含めて可能なかぎり準備を進めます。

2.センターが支援する事業

要請があれば、各学部等が実施する外部評価への助言を行います。




なお、専任研究員のうち、全学共通教育については木野が、FD活動については矢野が、評価活動及び外国語教育・留学生教育については大澤が主として担当しますが、いずれも相互に関連しあった課題ばかりですので、実際には相互に協力し合って取り組むことになります。

また、私たちセンター専任研究員は教務委員会等へもかかわる必要がありますが、そのかかわり方については、以下のとおりです。

  1. 教務委員会へはアドバイザーとして出席し、審議に参加する。全学共通教育運営委員会、各教科会議、その他の関連会議にも、必要に応じて出席し、審議に参加します。
  2. 上記各委員会等に大学教育にかかわる企画の提言や助言を行います。

以上






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